アジアの空の下で

バックパッカー体験記

   9月 12

テンジン君のかんちがい

ダージリンで知り合いになった人にテンジンという人がいた。
彼はオーストラリア人で仏教を学ぶためにインドへやって来た。
頭髪を剃り、チベット僧侶の着るえんじ色の袈裟をまとっていた。
テンジン君の頭部をよく見ると、前方の毛根は死滅しているようだった。

 

ある日、彼を含めた数人の友人で昼食を食べることになった。
私はいつものようにチョウラスタ広場を横切って待ち合わせ場所に行った。
チョウラスタ広場にはいつもなら観光用の馬がいるのだけど、その日は1頭も見かけなかった。

 

待ち合わせ場所にみんな揃ったところで、チョウラスタ広場に馬がいなかったことをチベット語で伝えた。
「タ(馬が) ミンドゥ(いなかった)」

 

ミンドゥには「いない」の他に「ない」という意味もある。
「タ」は「馬」だけど、スペルが違って同じ音の単語で「毛」を意味するものがある。

 

テンジン君は「タ(毛が) ミンドゥ(ない)」と理解したらしく、小動物が天敵に遭遇したときのようにビックリしながら、自分の頭をペタペタさわり始めた。
テンジン君以上に焦った私は「not hair, horse! horse!」と大声で言った(笑)

 

それを聞いたテンジン君は落ち着きを取り戻してくれた。
テンジン君は本当に小動物のような人で、いつもおどおどしていた。
こっそり「子リスちゃん」と呼んでいた。


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