アジアの空の下で

バックパッカー体験記

   9月 12

テンジン君のかんちがい

ダージリンで知り合いになった人にテンジンという人がいた。
彼はオーストラリア人で仏教を学ぶためにインドへやって来た。
頭髪を剃り、チベット僧侶の着るえんじ色の袈裟をまとっていた。
テンジン君の頭部をよく見ると、前方の毛根は死滅しているようだった。

 

ある日、彼を含めた数人の友人で昼食を食べることになった。
私はいつものようにチョウラスタ広場を横切って待ち合わせ場所に行った。
チョウラスタ広場にはいつもなら観光用の馬がいるのだけど、その日は1頭も見かけなかった。

 

待ち合わせ場所にみんな揃ったところで、チョウラスタ広場に馬がいなかったことをチベット語で伝えた。
「タ(馬が) ミンドゥ(いなかった)」

 

ミンドゥには「いない」の他に「ない」という意味もある。
「タ」は「馬」だけど、スペルが違って同じ音の単語で「毛」を意味するものがある。

 

テンジン君は「タ(毛が) ミンドゥ(ない)」と理解したらしく、小動物が天敵に遭遇したときのようにビックリしながら、自分の頭をペタペタさわり始めた。
テンジン君以上に焦った私は「not hair, horse! horse!」と大声で言った(笑)

 

それを聞いたテンジン君は落ち着きを取り戻してくれた。
テンジン君は本当に小動物のような人で、いつもおどおどしていた。
こっそり「子リスちゃん」と呼んでいた。



   9月 06

カトマンズのレストランでの出来事

ネパール、カトマンズのタメル地区やポカラなどの旅行者が多く集まる場所には映画の見られるレストランがある。
ヒマなときはそこで時間を潰すことが多かった。

 

ある日の昼下がり。
タメル滞在中の私は何もすることがなかったので「斜陽」を貸してくれた友人たちと映画を見にレストランへ行った。
ピザを注文して上映開始を待つ。

 

その日の映画は「チャーリーズ・エンジェル」だった。
以前に見たことがある映画だったので、セリフが聞き取れなくても大して問題にならなかった。

 

問題は映画を見たあと。
レストランを出ようと入り口を通りかかったとき、一人の日本人が入って来た。
彼は親しげに話しかけてきた。
「やあ、久しぶり。元気そうだね。久しぶり。懐かしいね」
満面の笑みを浮かべて話しかけてきた日本人男性。

 

私の知り合いじゃない。
隣りにいた友人の顔を見ると「ポカーン」としていた。
彼の知り合いでもない。

 

誰の知り合いでもないその人は再会を喜んで数分間、しゃべりまくっていた。
雰囲気から察するに、何かのナニかを摂取していたようです。



   9月 01

玄米茶の思い出

私は玄米茶が好きで、気温が下がってくると玄米茶を飲むようになる。
私が玄米茶を好きなのには理由がある。

 

インドにいたときのこと。
日本を離れてからずいぶん時間が経っていた。
ホームシックではないけど、「日本恋しい病」にかかっていた(笑)
何か「日本的」なものに触れると心がウキウキしてしまう。

 

そんなとき、知り合いの日本人が玄米茶を飲ませてくれた。
実家(日本)から届いた小包に玄米茶が入っていたらしい。
雨期で空気がひんやりしているなか、温かい玄米茶を飲んだ。

 

日本の香り!!!
インドでは決して味わえない玄米茶!独特の香り!
一杯の玄米茶を大切に飲んだ。

 

それ以来私は玄米茶が大好きになった。
帰国してからも好んで飲んだ。
あの香りをかぐと、当時の喜びが思い出されて幸せになる。